可変マルチビームツール
高い精度とスループットを実現する可変マルチビームツール
小型化が進み、電子部品やディスプレイの製造において求められるフィーチャ密度が増加しています。その一方で穴あけなどの製造工程における、1秒あたりの移動距離という意味でのスループット目標を達成するために、レーザー走査速度の増加も必要になります。
産業用レーザー加工のスループットを上げる複数の異なるコンセプトが存在します。1つめは、1つのレーザーと1つのスキャンヘッドで所望のスループットが得られない場合に、レーザーやスキャナを含む機器をもう1台用意することによって、プロセスを拡大するというものです。しかし、この方法はコストが高く、効率が低い場合が多いのが課題です。また、高エネルギーの超短パルスレーザーの最新の進歩が考慮されず、例えば、利用可能な最大レーザー出力が効率的に活用されない可能性があります。
2つめの方法は、1つのレーザーにビームスプリッタを組み合わせて、複数のスキャナにビームを供給するものです。しかしこの方法には、加工対象物へのアクセス性に関する問題が生じる場合が多いです。それは各スキャナによって、加工対象物のそれぞれ異なる領域を処理する必要があるためです。加工対象物が小さい場合は、各スキャナによって異なる加工対象物を処理しなければならないため、ハンドリングシステムに追加のコストが発生します。
3つめのコンセプトは、1つのメインスキャナで複数のビームの走査を可能とする、新しい方法を採用するものです。最大限の柔軟性を持たせるために、個々のビームは個別にオン/オフ可能であるとともに、限られた領域にステアリング可能です。
SCANLABとPulsar Photonicsの共同開発プロジェクトは、1つのメインスキャナ上で複数のビームを使用することによる、並列化に着目したものです。このいわゆる「マルチビームレーザスキャニング」構成により、高密度のプリント回路基板(PCB)やマイクロLEDディスプレイの製造などの多数の同一構造を高い構造密度で加工する必要がある用途におけるレーザプロセスを高速化することができます。
研究結果の詳細については以下の詳細記事をご覧ください。